君はガラスの靴を置いていく




『……なぁ、なんで2組となの?』

適当に準備運動をしながらまだ状況を受け入れずにいた。

『あー、なんかたまには別の組とやろうってなったらしいよ。バスケだしチームワークってやつじゃない?』

『……』

『でも男女は別だし糸井さんと同じチームになる事はないよ』


まるに保健室の事は話していない。近況報告はしてないけど俺の様子を見て何かあった事には気付かれてると思う。


まるの言う通りバスケは男女別で行われた。チームはあいうえお順で俺とまると増田は同じチームになった。

チラッと見ると女子の試合は始まっていて千花を目で追わないように必死で制御していた。


『ねぇねぇみや。私が3点入れたらお昼なんか奢ってよ』


コートの中央で得点係になった俺の背中越しで明日香が言う。明日香も同じく女子の得点係を押し付けられていた。


『は?むしろ病み上がりの俺になんか奢れ』

『なにそれ!勝手に風邪ひいたのはみやじゃん』

あはは、と笑う明日香の声はよく響く。そのせいで真面目にやれと先生に怒られてしまった。

何故か助っ人で他のチームに入ってる増田はバンバン得点入れるしおかげでこっちは忙しい。やっぱり学校休めばよかった。


『ねぇ、みや』

そんな中、明日香がまた俺に話しかけてきた。


『なんだよ。また怒られるだろ』

『いとりん知ってるよ?』

『え?』


『みやが昨日風邪で休んだ事。気付かなかったら私が教えてあげようと思ってたのにすぐに気付いてた。もしかしたらいとりんも……みやの事目で追ってるのかもしれないね』



< 263 / 300 >

この作品をシェア

pagetop