君はガラスの靴を置いていく
『今日暇だったら遊ぼうよ。つーかうちらもうすぐ卒業だしまた仲良く……』
と話しの途中で俺は強制的に扉を閉めた。
バタンと閉まった扉の前でため息が止まらない。
いつもいつも俺と千花の間には邪魔が入る。これも俺が遊びまくっていた報いだと分かってはいるけど。
『宮澤君ってやっぱり信じられない』
振り向くと千花はあの時と同じ顔をしていた。
『私の事だってからかってるだけなんでしょ?
遊ぶ相手が欲しいなら他に……』
『違うっ!』
全くあの時の状況と同じだ。なんで上手くいかない?なんでなんで………
すると千花は静かに言った。
『でも宮澤君前に言ってたじゃない。好きだから付き合おうって言った事がないって。それって誰の事も好きになった事がないって事でしょ?』
『……』
確かに言った。確かに誰の事も好きじゃなかった。
だけど今は違う。
『私の事だって好きじゃなかったんだよね?他の仲がいい女の子達と同じように軽い気持ちで付き合ってたんだよね?』
今は違うけど千花と付き合ってた時、俺は千花を好きじゃなかった。ここで好きだったと言えば気持ちを繋ぎ止められるかもしれない。でも……
『…うん、あの時俺は好きじゃなかったよ』
その延長戦上で千花と繋がりたいわけじゃない。