君はガラスの靴を置いていく





至近距離で千花からはいい匂いがしたし、事故でも体触っちゃったし。


男ってなんで夏になると盛(さか)んになるんだろ



誰も居ない図書室、静かな空間に二人っきり。学校って言うイケナイ場所だからこそ何か燃える。


まずキスをして、その後はその時の流れで。



『千花』


そう呼んでみたけど、なかなかこっちを見てくれない。

紛らわそうと千花は本を読んでいるけど、内容なんて頭に入ってないってバレバレ。




『-------------千花』


今度は無理やり腕を引き寄せた。


ドクンッドクンッ………と千花の心臓が聞こえてくるみたいに、脈は不整脈。


俺の心臓はいたって普通で、むしろ冷静過ぎるくらい。




『千花、なんか腹減らない?』


『…………え?』



多分、ここでキスをするのは簡単だ。

相手が同じ気持ちじゃなくても自分さえ良ければ成立する。でもそれじゃ、つまらない。


夏はまだまだ始まったばかりなんだから。




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