君はガラスの靴を置いていく
『知ってますよ。今日は休学届け出しに来たんです』
『は?休学届け?』
悠里は「でも1ヶ月だけですけどね」と笑って付け加えた。
『今のモデルの仕事もう少し幅を広げてやってみようと思って。その後の事は全然決めてないんですけど』
何かが吹っ切れたのか悠里の顔はどこか晴れやかだった。悠里は俺と同じでだらしない部分があるけど、それでもいつも眠たそうにしてたのは仕事を真面目にしてたからだ。
そう思うとやっぱり芯はしっかりしてるんだと思う。
『そういえば彼女とはどうなりました?なんだか先輩もスッキリした顔してますけどフラれちゃいましたか?』
悠里はいつものようにニヤニヤとしていた。
『うるせぇ、ほっとけ』
『それなら私の彼氏にしてあげましょうか?
6人目ですけどね~』
『なんで俺がお前に同情されてんだよ』
悠里は味方なのか敵なのかいまだによく分からない奴だけど写し鏡のように俺を映してくれるから冷静になれた部分はある。
『同情?だって今の先輩って全然魅力ないですもん。前の先輩は悪い男でとっても魅力的でしたよ?』
なんでそんなに悪い男が定着してんだよ。