君はガラスの靴を置いていく
└君はガラスの靴を置いていく
それからどのくらい時間が経ったか分からない。
委員会は終わっただろうか?学期末は色々忙しいし生徒会も長引いていそうだけど。
もしかしたら先輩と今頃一緒に居るかもしれないし、何時までに来なかったら俺はフラれたと認識したらいいんだろ。
夕方?それとも夜?
いや、委員会が終わったらって約束だし認める事も勇気だと思う。
後5分…いや後10分だけ待ってみよう。
それで来なかったら俺は…………
と、その時、タッタッタッと靴音が聞こえた。
神社の石段を登る音は最初は速く、そして上へ近付くほどゆっくりになっていく。
ドクンドクンと高鳴らずにはいられない心臓。
思わず立ち上がった俺は全神経を集中させて石段を見つめた。
まさか。きっと違う。
でも。そんなはずがない。
だけどもし……。そんな独り言を心の中で繰り返し早く早くと願った。
そしてふわりと揺れる黒髪が半分見えた所で、
俺の心臓は冷静になった。
あんなにうるさかったはずなのに今はただ静かで声を出すのをためらうくらい。
俺は息をはいて、
届くように名前を呼んだ。
『─────────千花。』