君はガラスの靴を置いていく
ざわっと風が神社を吹き抜けて1歩ずつお互いに距離を縮めた。少し息の上がった千花は深呼吸するようにそっと俺を見る。
『宮澤君』
名前を呼ばれた瞬間、思わず手が伸びそうになったけど千花の一言でそれを下ろした。
『今から私の気持ちを言うから聞いてほしいの』
俺は自分の気持ちを言う為に千花を呼んだけど、
きっと千花にも俺に言いたい事が沢山あるはず。
すれ違ってばかりだったけど俺も千花が思ってる事を聞きたい。
『私ね、宮澤君ってもっと大人の人かと思ってた。同じ年なのに色んな事経験してて、はしゃいでる人とか見てちょっと冷めた目をしてる所とか赤面するほど恥ずかしいセリフを平気で言う所とか。宮澤君はいつも私のずっと先を歩いてて、私は追いかけるだけで精一杯だったの』
焦りや勢いじゃない千花の本音はスーっと胸に染みてきた。
『何をしたらいいのか分からずにそれが分からないまま、気付いたら宮澤君との付き合いは終わってて、悲しかったけど仕方ないなって感情もあった。
宮澤君は私とは違うから』
千花はスカートの裾をギュッとした。