君はガラスの靴を置いていく
『好きだよ、千花。俺は周りが祝福してくれるような奴じゃないかもしれない。それでも千花だけは譲れない』
きっと喧嘩もする。お互い背を向ける時もあるかもしれない。
でも俺は千花が好き。すごくすごく好きなんだ。
『うん。私も宮澤君が好き』
やっと重なった気持ち。
俺はもう1度千花を抱きしめた。
ただ遊びだった。今さえいいと思ってた。
それぐらい俺達の出逢いは軽かった。
お似合いだと言われなくても、馬鹿だなと笑われても惹かれ合う。これがきっと恋におちるという事なんだ。
『──────洋平君』
千花が俺をそう呼んだ。
あの夏をやり直したいと思わない。お互いに何も知らず、お互いに手探りだったけど、きっと今なら同じスピードで歩いていける。
千花の目から流れる涙を優しく手で拭いた。
『千花、俺と付き合ってください』
少し照れながら千花は何度も頷いた。
そっと頬を触り、唇が重なるまであと1秒。
君が泣く。君が笑う。君が抱きしめる。
きっと俺達の物語はここから始まるんだ。
【君はガラスの靴を置いていく】END