君はガラスの靴を置いていく




だって26日は千花の誕生日だし。

このまま行けば一緒に行く事になるかもしれないじゃん。



『あ、花火もう線香花火しかないよ。どうする?』


まるが誰も手を付けていない線香花火を台紙から剥がした。

線香花火は地味だからか人気がなくていつも売れ残る。俺はけっこう好きだけど。



『もったいないからやろうよ』


俺がまるの手から1本抜き取ると、みんなそれに続いた。

丸くなるようにみんなでしゃがみ火を付けようとした瞬間、明日香がひらめいたように言う。



『じゃぁ、最初に落ちた人罰ゲームね。えっとね、経験人数暴露するか自分の性癖言うのはどう?』



-----------------どっちも下ネタかよ。

でも罰ゲームを提案したおかげで、地味な線香花火にみんなが真剣になった。



『じゃぁ、いくよ。せーのっ』


一斉に火を付けると、ジリジリッとはじめは小さく花火が灯る。その後、バチバチッと揺れ始め火の玉が大きくなり始めた。



『あー、落ちた!!』


一番最初に落ちたのは同じクラスの男子。それに続くようにみんな脱落していく。


『私も落ちた。でも一番は増田っちだから罰ゲーム決定ね』


そんな中、俺の線香花火はまだ生きていた。

今のところ落ちる気配はない。



『ちょっと、みやの線香花火すごくない?
もうみんな落ちたのに長すぎっ!』

ゲラゲラと笑う明日香に続いて、みんなが笑う。


結局、俺の線香花火はその後3分も続いた。



< 37 / 300 >

この作品をシェア

pagetop