君はガラスの靴を置いていく
まるはいつもと様子が違って、千花に興味津々のようだ。
『糸井さんは普段お弁当?自分で作ったりしてるの?』
『………料理は苦手で。だから毎朝お母さんに作ってもらってるよ』
そんな二人のやり取りを俺はカツ丼を食べながら聞いていた。
まるは気になる事をその後もどんどん聞いていたけど、千花はなんだか戸惑っている。
そんな中、まるの一言で俺の箸はピタリと止まった
『あ、そう言えば糸井さん夏祭り行く?俺らみんなで行くんだけど良かったら一緒にどう?』
昨日に引き続き夏祭りの話題。
勿論まるは千花がその日誕生日だって知らないし、俺が誘っている事も言ってない。
『……えっと、その日はその……』
なんて答えたらいいか分からない様子に、俺は話しに割り込んだ。
『つーか俺、行けるか分かんないって言ったじゃん。もしかしたら別の人と行くかもしれないし』
最後の語尾を協調して、さりげなく千花にアピール
『別の人って誰?女子?ってか女子だろ!』
まるの問いかけに俺は『さぁ?』と流す。千花は気まずそうに目が泳いでいた。
俺はこの話題ついでにあの事を聞いてみる。
『千花、連絡先教えてよ。
まだ教えてもらってなかったし』