君はガラスの靴を置いていく
そして3時限目の授業が終わり休み時間。俺はなんとなく廊下に出た。
ガヤガヤとうるさい廊下で、前方に千花らしき後ろ姿を発見した。
千花はあまりクラスから出ないのか廊下で見かける事は少ない。
『---------------千花っ』
テンポ良く話しかけると、その両手は何かで塞がれていた。
『あ、宮澤君……』
文字が書かれた白い紙の束。小柄な千花からはみ出ているし、なんか崩れかかってる?
『なにこれ』
俺はそう言いながら、千花の代わりに紙の束を持った。
『いいよ、宮澤君。私が持つから』
『いいって、どこに運ぶの?』
『……………視聴覚室』
視聴覚室は学校の中でも広い部屋で、でかいスクリーンとか音楽機器がある所。普段、授業では使わないから滅多に入れない。
『この紙、何に使うの?』
視聴覚室は4階の角部屋。俺はそれを運びながら千花はその横を歩いていた。
『今日放課後、視聴覚室で生徒会委員があるからそれで使う資料だよ』
千花は昨日のメールで慣れたのか、俺とすんなり会話してくれる。表情も柔らかいし。