君はガラスの靴を置いていく





『メールだと千花、印象違うよね。すごい質問してくるからびっくりした』


こうやって普段も喋ってくれればいいのに。



『そ、そうかな。直接だと上手く聞けないからそれで……ごめんなさい』


『なんで謝るの?聞きたい事はなんでも聞いてよ。嬉しいし』



そんな会話をしている内に視聴覚室に着いた。中はわりと新しいペンキみたいな匂いがする。

俺は紙を教壇の上に置き、時計を確認した。

次の授業まで後5分ある。





『ねぇ、千花。夏祭り一緒に行かない?』



広い空間はやたらと声が響く。

前は冗談半分だったけど今回は本気。それが分かったのか千花は戸惑っていた。



『……えっと、……』


『それともメールで誘った方が良かった?』


本当は昨日言おうと思ったんだけど話題が全然違ったし。それにこうゆうのは直接誘うから意味があるんだろ。



『……でも宮澤君、丸山君達に誘われてるんじゃないの?…………多分、私なんかよりみんなと行った方が………』


千花の話しはまだ続いていたけど、俺は途中で遮った。



『俺は千花と一緒に行きたいんだけど』


周りの事は関係ない。俺が知りたいのは行きたいか、行きたくないか、それだけ。

千花の様子からして今、返事を聞くのは無理だろう



『まだ日にちあるからゆっくり考えてみて。返事はメールでもいいから』



そして、4時限目が始まる予礼のチャイムが鳴った



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