君はガラスの靴を置いていく





久し振りに入った明日香の家は付き合ってた頃と何も変わってない。

決して綺麗とは言えず、むしろ物が多くてごちゃごちゃしている。部屋は2LDKで俺は明日香の部屋へと入った。


相変わらず原色系でベッドカバーはピンク豹柄。



『制服着てんじゃん。学校来る気だったの?』


俺はとりあえず腰を下ろし一息ついた。



『行こうと思ってたんだけど………』


明日香は俺の隣に座り、でかいクマのぬいぐるみを抱く。顔はさっき泣いたせいで別人になっていた。


部屋のあちこちには写真が貼ってあって、ほとんどみんなで遊んだ時のものだ。

去年の海の写真とか球技大会の写真とかなんだか懐かしい。


『みんな心配してるから、学校に来いよ』


もうすぐ夏休みだし、このままじゃ気まずいじゃん。


すると、明日香はぬいぐるみに顔を埋めた。



『だってみや私の事嫌いになったでしょ?』


いつも明るくて馬鹿な事しか言わない明日香がとことんブルーモード。なんか俺も感染しそう。


つーか結局、そこが解決しないと話が進まない感じ?だって俺断ったじゃん、友達関係続けるなら諦めろって。

それでなんか大事になって、明日香の家まで行く事になって。一番可哀想なのって俺じゃね?



< 60 / 300 >

この作品をシェア

pagetop