君はガラスの靴を置いていく
『ほら、うちってお父さん居ないでしょ?昔からお母さんも彼氏出来る度にその人に夢中で。私なんてほったらかしだったから自分だけ見てくれる存在って大きいんだよね』
確かに俺が泊まりにきた時も、明日香の母親は帰って来なかった。
明日香はいつもの事だよって笑ってたけど、その寂しさがあるから彼氏に対しての依存が強くなるんだと思う。
『それなら作ればいいじゃん、彼氏。明日香ならすぐ出来るだろ?』
決して依存が悪い訳じゃない。
まぁ、付き合えないと断った俺が言う事じゃないけど。
『うん………。前はね割りと誰でも良かったんだ。
タイプは一応あるけど。でもみやと付き合ってた時、本当に楽しくて好きだなって本気で思ったんだよね』
明日香から出てくる言葉は見た目とは裏腹に一途な言葉。
別に俺は明日香に対して何もしてないし、正直付き合った女には同様の事をしてるだけ。
デートしたり、泊まったり、手を繋いだり、キスしたりその他もろもろ。
特別な事は何一つしてないけど、それを楽しかったって言うって事は今までどんな雑な付き合い方をされてたんだろ。
そう思うと、ちょっと同情する。