君はガラスの靴を置いていく
TIME OF REPEATEDLY 彼女
祭り会場に着くと、すでに人が溢れていて両側にはたくさんの出店が並んでいた。
長い直線の道路は歩行者天国になっていて、
各々何かを食べながら歩いている。
自転車を近くの駐輪場に停めて、俺達もその人混みを歩き始めた。
『千花ってサンダル履いても小さいね』
さっきは分からなかったけど、並んで歩くと千花は俺の肩ぐらいしかない。
『うん……。高い靴だと痛くなるし、宮澤君に迷惑かけちゃうから』
いつも人の心配をする千花はやっぱり千花らしい。それに靴選びの時に俺の事を考えてくれたんだと思ったら嬉しかった。
『俺は浴衣でも良かったけどね?』
なんて、ちょっと調子に乗ってみる。
すると千花から意外な答えが返ってきた。
『あ、えっと、それも考えたんだけど………何も言わずに浴衣着てきたらびっくりすると思って』
もしかしたらだけど、千花は何日も前から洋服とか悩んでいたのかな?俺は男だからそこら辺は分からないけど。
『そう?千花の浴衣姿も見たかったけどね』
俺がそう言うと、千花は恥ずかしそうにうつ向いていた。