君はガラスの靴を置いていく
『千花と居ると楽しいし、この夏休み一緒に色んな所に行きたい。千花は俺が好きじゃない?』
千花は少し考えた後、静かに首を横に振る。
それって好きと捉(とら)えていいのかな。
俺の聞き方もずるかったと思うけど。
『それなら彼女になってくれる?』
俺は改めて言った。これなら答えはイエスかノーしかない。
多分千花にとってキスされたのも告白されたのも初めてだったと思う。この状況をどうしたらいいのか混乱している様子。
きっと千花からの答えを待ってたら夜が明ける。
俺は別にいいけどさ。
『………じゃぁ、今度は罰ゲームじゃないキスするから嫌だったら避けて。もし避けなかったらそうゆう事だって受けとるよ?』
千花が奥手なら俺が押すしかない。
俺はそっと千花の頬に手を添えた。するとビクッと千花の体が強ばる。
ドクン、ドクンッと再び千花の脈が速くなった。
それが不整脈過ぎて俺にも緊張が移りそう。
ゆっくりと千花との距離が近くなり、それは僅か数センチ。そして、
『するよ?』
今度は突然ではなく。これは告知した上で成立した千花とのキス。
相変わらず千花の体はガチガチだったけど、それが新鮮で可愛い。
千花の誕生日、7月26日。
『今日から千花は俺の彼女だからね』
利根川の川沿いで俺達は密かに彼氏、彼女の関係になった------------------。