年上の男


人が来るなら適当な服でいること出来ないじゃん。

私は顔を洗い、歯を磨いてから自分の部屋で服を着替えた。

11時を少し過ぎた頃、

ピンポーン

家のインターホンがなる。

「はい」

『あ、N会社のものですが』

「はーい、今行きます」

お母さん、早く帰ってきてよ~。

内心泣きそうになりながら、玄関に向かってドアを開けた。


「あの・・・」

「あ、N会社の矢崎と申します。・・・奥さんですか?」

その矢崎と名乗った男の人は、私を若奥さんだと勘違い。

「いえ、娘ですけど・・・」

「あ、そうですか・・・」

明らかに困ったような顔。

「あの、母から蜂の巣の事は聞いていますので・・・それと、もうすぐ母も帰ってくると思いますから・・・」

一応丁寧に対応してみる。

「あ、そうですか」

ちょっとホッとしたようにその人は笑った。

ドキ。

あれ・・・今、ドキってした。





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