年上の男


それから、水風船のヨーヨーとか、ベッコウ飴とか買ってもらいながら少し歩いたところに射的があって

「射的!射的やりましょう!」

そう言った私の腕を掴む。

「矢崎さん?」

どうしたんだろ。

ちょっと怖い顔。

「具合が悪いなら言えばいいのに」

「え?」

その瞬間、私のオデコに矢崎さんの手が当たる。

冷やりとして気持ちがいい。

「熱・・・あるだろ?」

「・・・・え・・・」

「会ったときに顔が赤いのはわかってたんだけど・・・まさかここまで熱があるとは思わなかったから」

え?そんなにある?

「そ、そんなにないですよ・・・」

「そんなにって事は、最初からあったってこと?」

あ、やば・・・。

「あの・・・」

「帰ろう。歩ける?」

「・・・はい」

腕を掴まれたまま、私は矢崎さんの少し後ろを歩く。

「俺のアパート近いから、車で送ってく」

途中まで歩くと、矢先さんのアパートの方向に向かっていく。

このまま、もう終わっちゃうの?

いやだよ。

せっかく・・・・せっかく・・・。




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