年上の男
だけど、頭がぼーっとしてるのは間違いなくて。
「もっと早く気がついてやるんだった。ごめんな」
なんで・・矢崎さんが誤るの・・・。
「ちが・・私が、熱があるのわかってて・・・無理にきたから」
はぁ。
ため息を吐くのが聞こえた。
なにやってんだろ。
熱なんかあったら、来ないよね普通。
だけど・・・困らせるつもりなんて無くて。
一緒に出かけられることが嬉しくて。
ただそれだけで・・・。
だって、普通に生活してて会える人じゃないんだもん。
コンビニのバイトだって、もう終わったし・・・。
連絡先なんて・・・わからないし。
会社に電話なんてかけられないし。
もう、会えなくなるって思ったから・・・誘って。
OKして貰えて嬉しかったの。
本当に嬉しかったの。
男の人と出かけられるのが嬉しいなんて思ったのは矢崎さんが初めてで。
・・・好きなんだもん。
もう、どうしようもないくらい好きなんだもん。
2人とも無言でアパートに着くと、矢崎さんはポケットから車の鍵を取り出し、エンジンをかけた。