年上の男
麦茶を用意したお母さんが、玄関まで慌ててやってきた。
「まぁまぁ・・・暑いのにご苦労様でした。どうぞ、どうぞ」
家の中に進めるお母さんに
「申し訳ありません。この後ちょっと急ぎの仕事が入ってますので・・」
丁寧に断っていた。
「あ、そうですか?」
「私はこれで・・後の事はこの織田にお願いします」
「はい、わかりました」
そう言った後、お母さんは私に
「冷蔵庫にお茶とコーヒーがあるから2本ずつ持ってきて」
と耳打ちをした。
私はキッチンの冷蔵庫から4本取り出し、2本はお母さんと話をしている織田さんに渡し、残りの2本を持って外に出た。
矢崎さんを探すと、彼は車の中に座っていた。
私が車に近づくと、ドアを開けて中から出てきた。
「あの、これ・・」
私が恐る恐る差し出すと
「ありがとうございます」
と、爽やかな笑顔を見せてくれた。
ドキ。
・・・やっぱり、この人の笑顔いいな。