雪月花~死生の屋敷
再び小屋に戻った私と色武は、先ほどと同じ場所に腰かけた。

「あの…彼等はやはり幽霊なのですか?」

率直に色武に聞いてみた。色武なら知っているはずだし。

「はい。霊魂と言った方が正しいと思いますが、幽霊でも同じですね…」

「違いがあるんですか?」

「そうですね…霊魂と幽霊は近い存在ですが少し違います。幽霊とは人の恐怖が生みだす存在です。起きているのに夢を見るのと同じなのですよ」

ここで色武は説明を開始する。色武は説明に関係あるのか解らないが、身ぶり手振りをつけながら説明を開始する。

「普通、現実世界の出来事は全て説明がつく事しか起きません。実際成海さんは、幽霊に会ったことはないですよね?でも会った事がある方も確かにいます…そんな方は、たくさんの幽霊と遭遇している方が多いですよね。それって普通に考えておかしい事です」

「まぁ…見える人と見えない人の違いは説明出来ないですね」

「そうなんです。極論を言わせてもらうと幽霊は、妄想の類なんですよ。そして霊魂は幽霊とは違い、人の魂が具現化して現れる事が出来る存在なのです…ある条件をクリアするとですが」

「条件?」

色部は人差し指を立てそう話すと、今度は両手を自分の胸の前で重ねる。

「それは切なる思いでございます…この場所に魂を留めてまで語りたい思いがある霊魂にのみ、それが出来るのでございます」

色武の語り方は、少し演技かかっている様に見える。でも、それが悪ふざけからきているのであれば、私も流せるのだが、色武の雰囲気を察するに…マジだった。

そんな色武が可愛く感じてしまう…。

「そしてそれが出来た霊魂は、伝えたい方をこの雪月花に導く事が出来るのです。おそらく成海さんをこの場所に導いた方がいるのだと思います…心当たりがございませんか?」
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