雪月花~死生の屋敷
でもそれはいけない気持ちだと私は解っている。この子は霊魂であって、死した子供。
どれだけ生きている人と変わりがなかろうと、この子は死んでいる。一緒に暮らして上げる事も出来ないし、一緒に時を刻む事もおそらく出来ない。
私に出来る事はこの子の寂しさを紛らわせる事しか出来ない。こんなにか弱い子供が一人でこの場所に居るのはあまりにも……可哀そう…だ……し??
(その数珠を着けている限り、普通の霊魂には成海さんの姿は同じ霊魂に見えるはずでございます。しかし数珠の効果をもってしても、強大な力を持つ霊魂にはこの数珠も通用しません…それを重々理解して雪月花では行動して下さい)
確か色武さんは、こんな事を言っていた。数珠を着けている限り、私の姿は霊魂に見えるはずだと。そしてその力を看破する力を持った霊魂には数珠の力は通用しないと。
「ねぇユキちゃん…私が霊魂じゃないってもしかして気付いてる?」
直接聞いてみるしかない。可能性としては低くない…私が生きている人間だと言う事にユキちゃんが気付いている事。
ユキちゃんは私の胸に埋めていた顔を上げると、鷹揚に頷いて見せた。少しも隠すことなく素直に…これが意味する事は私でも解った。
色武さんの言っていた事が真実なら、ユキちゃんは間違いなく…強大な力を持った霊魂という事になる。色武さんは私が雪月花に入る前に、こんな事も言っていた。
「面白いもので、雪月花の中では強大な力を持った霊魂ほど、雪月花の深部に拠点を置いているものでございます。ですので入口付近には、小さな力を持った霊魂しかいません…ですので最初は安心して屋敷を散策すると宜しいかと思います。疲れたらいつでも此処に戻ってきて構いませんしね。こんな私でも、話し相手ぐらいは務まるかと思います」
…どういう事なのだろうか。ユキちゃんには私の事がしっかりと見えている。
それにここは入口も入口。深部には程遠い場所であるのは間違いない。
私が多少困惑しながら考え込んでいると、心配そうに私の顔を見上げるユキちゃんが、私の視界に入ってきた。
「…どうしたの?」
「うん?何でもないよ…それより先に行こっか?ユキちゃんはどうする?歩く?それとも抱っこされていたい?」
どれだけ生きている人と変わりがなかろうと、この子は死んでいる。一緒に暮らして上げる事も出来ないし、一緒に時を刻む事もおそらく出来ない。
私に出来る事はこの子の寂しさを紛らわせる事しか出来ない。こんなにか弱い子供が一人でこの場所に居るのはあまりにも……可哀そう…だ……し??
(その数珠を着けている限り、普通の霊魂には成海さんの姿は同じ霊魂に見えるはずでございます。しかし数珠の効果をもってしても、強大な力を持つ霊魂にはこの数珠も通用しません…それを重々理解して雪月花では行動して下さい)
確か色武さんは、こんな事を言っていた。数珠を着けている限り、私の姿は霊魂に見えるはずだと。そしてその力を看破する力を持った霊魂には数珠の力は通用しないと。
「ねぇユキちゃん…私が霊魂じゃないってもしかして気付いてる?」
直接聞いてみるしかない。可能性としては低くない…私が生きている人間だと言う事にユキちゃんが気付いている事。
ユキちゃんは私の胸に埋めていた顔を上げると、鷹揚に頷いて見せた。少しも隠すことなく素直に…これが意味する事は私でも解った。
色武さんの言っていた事が真実なら、ユキちゃんは間違いなく…強大な力を持った霊魂という事になる。色武さんは私が雪月花に入る前に、こんな事も言っていた。
「面白いもので、雪月花の中では強大な力を持った霊魂ほど、雪月花の深部に拠点を置いているものでございます。ですので入口付近には、小さな力を持った霊魂しかいません…ですので最初は安心して屋敷を散策すると宜しいかと思います。疲れたらいつでも此処に戻ってきて構いませんしね。こんな私でも、話し相手ぐらいは務まるかと思います」
…どういう事なのだろうか。ユキちゃんには私の事がしっかりと見えている。
それにここは入口も入口。深部には程遠い場所であるのは間違いない。
私が多少困惑しながら考え込んでいると、心配そうに私の顔を見上げるユキちゃんが、私の視界に入ってきた。
「…どうしたの?」
「うん?何でもないよ…それより先に行こっか?ユキちゃんはどうする?歩く?それとも抱っこされていたい?」