雪月花~死生の屋敷
そんな竜也君と一緒にバスケットをしていたのが…孝也だった。

孝也は竜也君と仲が良かったのか、毎日の様に昼休みを使って、バスケットをして遊んでいるようだった。孝也はバスケットが上手くもなければ下手でもない。

それでも精一杯ボールを追いかけ、多量の汗を流しながらバスケットを楽しんでいるようだった。

そんな彼等を見たくて私は、友達を引連れて体育館でおしゃべりをするのが日課になっていた。ステージの上の一画で座りながら友達とおしゃべりをする。

竜也君達はいつも同じ場所でバスケットをしている。ステージから見て左側のゴールを使い、3-3の対決をするの。人数が多い時は、一面を使ってバスケットをしているようだけど、大抵は3-3をしている。

竜也君と孝也はそのバスケット仲間の中で、常に居る二人組だった。

竜也君に話しかけたいけど、そんな勇気が出ない私…友達に背中を押してもらいながらも、前に踏み出す一歩が出ない。

そんな私を見かねた友達が、私の代わりに竜也君に話しかけに行ったの。そして私は竜也君と初めて会話をする事に成功した。

どんな会話をしたかは全然覚えていない。覚えているのは、緊張していた事と、遠目で私たちの事を見ていた孝也の姿だけ…。

何故か私の視界に入っていた孝也の姿。こうして私は竜也君と始めて会話をし…孝也と顔見知りになった。




当時の淡い記憶…。今でもあの時の情景は鮮明に思い出せる。

一ヶ月前の記憶は曖昧なのに、6年前の記憶はしっかりと残っている自分がなんだか不思議に思う。

一人で思い出に浸りながらゆっくりと長い道のりを歩いていると、突然空気が変わった間隔を肌に感じた。言葉で表すのであれば、悪意。見の毛もよだつ様な鋭い刺激が私の体全体を覆う…。

その雰囲気を感じてか、私の腕の中で眠っていたはずのユキちゃんが目を覚ます。
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