雪月花~死生の屋敷
「消えて」
突然迷彩服の男の動きが止まる。そして何を思ったのか、バックステップで私と距離を開けると、愕然とした表情で私を見つめる。
恐怖で私の心臓は、波打つ津波のように高鳴っている。自然と息も荒くなり、変な冷や汗もかいている。
そんな中、私の腕の中に居たユキちゃんは、表情を冷たいものにし、漠然と迷彩服の男に視線を送っている。ユキちゃんは私の腕の中から離れると、男の目の前に躍り出る。
「早く消えた方が良いよ。それとも痛い目に合いたい?」
ユキちゃんの言葉に空気が変化した。さきほど迷彩服の男が現れた時に感じたのは寒気。
でも今感じるのははっきりとした悪寒だった。身の毛がよだつといった、言葉で表せる様な事ではない。実際に寒いのだ…。
さっきまで感じていた冷や汗も、一気に引いた。ただ茫然とする事しか出来ないほどの、力のうねりを感じる。
その気迫を直に受けている迷彩服の男も表情を一変させていた。
足が震えている。恐怖で歯がガタガタと音を立てている…。
開いているかわからないほどの一重の眼を見開き、猫背の態勢が頭を下げているのではないかと言うほど姿勢が変になっていた。
迷彩服の男は何も言わず、見方によっては戦闘態勢を保ったままその場で立ち尽くしてると、ユキちゃんは突然手を前に突き出した。
すると迷彩服の男は心臓を押さえながら、その場でうずくまり出した。声にならない悲鳴を上げ、時折嗚咽を漏らしながらのたうち回り出す。迷彩服の男の体からは、キリキリと聞いた事のない様な音が悲鳴の合間に聞こえてくる。
「ぎゃっあぁ!わか…たぁっ!消えるからやめてくれ…」
男の口からは、あふれる様に血が噴き出し始めていた。その様子に思わず私は悲鳴を上げてしまう。
人が吐血する姿を始めて見た。あんな苦しそうな表情を見るのも初めて…全てが初めて見る光景に頭がパニックに陥り出す。
突然迷彩服の男の動きが止まる。そして何を思ったのか、バックステップで私と距離を開けると、愕然とした表情で私を見つめる。
恐怖で私の心臓は、波打つ津波のように高鳴っている。自然と息も荒くなり、変な冷や汗もかいている。
そんな中、私の腕の中に居たユキちゃんは、表情を冷たいものにし、漠然と迷彩服の男に視線を送っている。ユキちゃんは私の腕の中から離れると、男の目の前に躍り出る。
「早く消えた方が良いよ。それとも痛い目に合いたい?」
ユキちゃんの言葉に空気が変化した。さきほど迷彩服の男が現れた時に感じたのは寒気。
でも今感じるのははっきりとした悪寒だった。身の毛がよだつといった、言葉で表せる様な事ではない。実際に寒いのだ…。
さっきまで感じていた冷や汗も、一気に引いた。ただ茫然とする事しか出来ないほどの、力のうねりを感じる。
その気迫を直に受けている迷彩服の男も表情を一変させていた。
足が震えている。恐怖で歯がガタガタと音を立てている…。
開いているかわからないほどの一重の眼を見開き、猫背の態勢が頭を下げているのではないかと言うほど姿勢が変になっていた。
迷彩服の男は何も言わず、見方によっては戦闘態勢を保ったままその場で立ち尽くしてると、ユキちゃんは突然手を前に突き出した。
すると迷彩服の男は心臓を押さえながら、その場でうずくまり出した。声にならない悲鳴を上げ、時折嗚咽を漏らしながらのたうち回り出す。迷彩服の男の体からは、キリキリと聞いた事のない様な音が悲鳴の合間に聞こえてくる。
「ぎゃっあぁ!わか…たぁっ!消えるからやめてくれ…」
男の口からは、あふれる様に血が噴き出し始めていた。その様子に思わず私は悲鳴を上げてしまう。
人が吐血する姿を始めて見た。あんな苦しそうな表情を見るのも初めて…全てが初めて見る光景に頭がパニックに陥り出す。