雪月花~死生の屋敷
正確な時間が分からないので、どれだけの時間休憩したのか解らないけど、結構な時間私は、休憩していたと思う。

私の腕の中に居るユキちゃんが目を覚まし、暇そうにしているし…。

そろそろ出発しようかしら。そんな事を考えていた私だが、ユキちゃんは私の腕の中から出ると、私と向き合う位置に立った。

私の座高とユキちゃんの身長は対して変わらない様に見える。少しばかしユキちゃんの方が高いかもしれないが、視線を合わせる事自体は、私が少し目線を上に向ける程度なので、窮屈ではない。

「そろそろ……かな」

「ん??何が?」

そろそろ…って?

「…虚無の彼方。過去との遭遇」

ユキちゃんは何やら子供らしくない言葉の羅列を述べた。5歳の子供が知っている言葉ではないと思う…。

でもそれはこの際どうでもいい。いま知らなくてはいけないのは…。

「過去との遭遇ってどう言う事?」

何か私に伝えたい事があっての言葉だろうと言う事。無口なユキちゃんが私に真剣な眼差しで言っているのだから。

「おねぇちゃん…この場所に頂上はないの。過去との対話が道を開くの」

「…えっ?」

過去との対話が道を開くって…何が?

「ごめん…言っている意味がわからない。過去を振り返る事で道が出来るって…何?」

「虚無がね…雑念を浄化して、過去を鮮明にする力があって、振り返る事が出来るの」

ユキちゃんは私に一生懸命説明しようとしているのだろうが、説明されればされるほど私は、頭が混乱していく。
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