雪月花~死生の屋敷
「先に静を…この子を先に出してあげてください。俺は大丈夫です…」

意識が混濁している私は、そんな孝也の言葉に反応しようとしたのだが、体がうまく動かなかった。オジサンは孝也に返事を返すと、急いで私のシートベルトを外し、私を外に連れ出した…。


だがその時です。



孝也の乗った車が……。



私の視界から消えたのは…。



夢であってほしかった出来事が起きたのです。




私が下りた事で片側の重さが軽くなり、車は崖から落ちて行きました。




そして…。




私は大切な人を失いました。




辛くて。


苦しくて。


悲しくて。



自分を責めたくて。




私は……ただ泣く事しか出来ませんでした。
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