雪月花~死生の屋敷
色武は雪月花の窓を見ろと言っていたが、窓だけではない。遠くに見える雪月花の入口にもたくさんの人の姿が見える。
私たちの方を見ているこの視線。気温とは関係ない寒気の様なものを覚えてしまう。
「…何で急にこんなにたくさんの人が居るの?さっきは一人も居なかったのに」
「さっきも居ましたよ。ずっと成海さんの姿を見てございました…食い入るようにね」
思わず耳を疑ってしまった私。さっきは確かに誰も居なかった。
色武が私に声をかけるまで、私は屋敷の近くで屋敷の外観を眺めていた。木造の立派な建物だというのは見て気づいたが、人の姿は間違いなくなかったはず…。
「先ほど飲んだ月見花の茶のおかげで、霊の姿が見れる様になったのですよ」
「先ほどのお茶のおかげ?」
「はい。あの茶はこの場所にだけ咲く花…この世界のものを食した事で、霊の存在を見る事が出来る様になったのです」
さっき色武が百聞は一見にしかずと言った意味がやっと解った。色武には見えていたのだ…そして私には彼等が見えていなかった。
だから危険だと言ったのだ。見えないものに対して対抗するものを持っていない私を…。
「それでは戻りましょうか。彼等は雪月花から出る事は出来ないので、私の小屋の中は安全ですから…」
私が霊の存在を理解したと思ったのか色部は、小屋の方に戻って行く。確かに私は理解した。
目の前でしっかりと見てしまったから。私が耳にした幽霊は、足がないとか半透明だと聞いていたが、目の前に広がる光景は、少し違っていた。
まず、足はしっかりある様に見える。それに半透明でもなかった。
けど普通の人とは違う部分もある。それは肌の色だ。
一言で言えば青い…。つまりは死体の様な肌色をしていたのだ。だから私は彼等の姿を見て驚いたのだ。
私たちの方を見ているこの視線。気温とは関係ない寒気の様なものを覚えてしまう。
「…何で急にこんなにたくさんの人が居るの?さっきは一人も居なかったのに」
「さっきも居ましたよ。ずっと成海さんの姿を見てございました…食い入るようにね」
思わず耳を疑ってしまった私。さっきは確かに誰も居なかった。
色武が私に声をかけるまで、私は屋敷の近くで屋敷の外観を眺めていた。木造の立派な建物だというのは見て気づいたが、人の姿は間違いなくなかったはず…。
「先ほど飲んだ月見花の茶のおかげで、霊の姿が見れる様になったのですよ」
「先ほどのお茶のおかげ?」
「はい。あの茶はこの場所にだけ咲く花…この世界のものを食した事で、霊の存在を見る事が出来る様になったのです」
さっき色武が百聞は一見にしかずと言った意味がやっと解った。色武には見えていたのだ…そして私には彼等が見えていなかった。
だから危険だと言ったのだ。見えないものに対して対抗するものを持っていない私を…。
「それでは戻りましょうか。彼等は雪月花から出る事は出来ないので、私の小屋の中は安全ですから…」
私が霊の存在を理解したと思ったのか色部は、小屋の方に戻って行く。確かに私は理解した。
目の前でしっかりと見てしまったから。私が耳にした幽霊は、足がないとか半透明だと聞いていたが、目の前に広がる光景は、少し違っていた。
まず、足はしっかりある様に見える。それに半透明でもなかった。
けど普通の人とは違う部分もある。それは肌の色だ。
一言で言えば青い…。つまりは死体の様な肌色をしていたのだ。だから私は彼等の姿を見て驚いたのだ。