伸ばした手
アイスコーヒー
彼女は、綺麗に笑う人。
彼女は、アイスコーヒーが好き。
「よくそんな苦いの飲めんな」
「お子ちゃま」
彼女は、俺より一枚上手。
「アンタはよくそんな甘いの飲めんね」
「苺オレ馬鹿にすんなよっ」
「お子ちゃま」
彼女は、俺と同い年。
「お前が大人すぎんの」
「アンタがお子ちゃまなの」
俺の言葉に、彼女は傷ついた表情を見せた。
……が、すぐにいつもの無表情に戻る。
「お前さぁ。笑ったほうが可愛いよ」
「なっ……」
俺が彼女の頬をつつくと、
彼女は顔を真っ赤に染めた。
そう、まるで、淡いピンクの桜のように。
「悪かったわね、仏頂面で」
「んー、お前は、笑わないと綺麗な人だよ」
「じゃあ、いいじゃない」
「笑ったら可愛いよ。」
「……なにそれ」
「俺、お前の笑った顔のほうが好き。」