褪せない花
相変わらず煙たい部屋の中に入って、昨日の花火玉を見る。
けれどそこにあったのは、昨日とは変わり果てた姿の花火玉だった。
「これさぁ…」
アスカが呆れたように言い捨てると、イズナは頭をかきながら照れくさそうに笑った。
「さっきの爆発でダメになってな。見に来てくれたのに悪い」
「いやいや、それはいいんだけど」
あんたは大丈夫なのかと訊ねようとしてやめておく。
見たところ、顔が真っ黒になっているだけで怪我はないようだし。
見るものもないし帰ろうかと思っていると、迷惑なことにイズナがべらべらと花火の説明を始めた。
「せっかく来たんだから花火の話でも聞いていってくれ。花火を構成する中では星って呼ばれるやつが一番重要で、それから割火薬ってやつも花火を高く打ち上げるのに大事なんだ。それからこいつらをこの中に詰めて…」
いい加減長ったらしい説明にうんざりしていたところ、急にイズナの体が前のめりに傾いた。
そのまま、気が付けば自分の右肩に新たな重みが加わる。
「…え」