褪せない花
突然のことに、驚きを隠せない。
どうしていきなり、こんなことに。
「ちょっ、ちょっと?」
声が裏返った恥ずかしさも忘れて彼をどかそうとするけれど、なかなかどいてくれない。
暑い、いろんな意味で。
「どけてってば」
ぐいぐいと彼の顔を押しのけようとしていると、安らかな寝息が聞こえてきた。
「…は?」
自分の首を精一杯ひねって彼の顔を見ると、そこには何とも気持ち良さそうな寝顔があった。
少しだけドキドキしていたのがバカみたいに。
きっとあまり寝ていないんだろう。
こんな朝早くから爆発音が聞こえるのだから、当たり前のことだけど。
彼の頭を床に打ち付けないようにゆっくり腰を下ろして、それからイズナを床に寝かせておく。
「びっくりした…」
だってこの人、黙ってたらけっこうかっこいい。
しゃべりだしたら、あんなに花火バカなのに。