褪せない花
髪は相変わらずぼさぼさだったけれど気にしないことにして、その格好のまま隣の家のドアを叩く。
けれど中から返事はない。
「…開けるぞ?」
ドアを開けて真っ先に視界に飛び込んできたのは、ベッドの上に倒れこむように眠る彼女。
「今度はこっちかよ」
さっきまで寝ていたのは自分の方だったのに。
そう苦笑しながら、ベッドの上に静かに腰掛ける。
ぎしりと軋んだ音に起きてしまうかと思って少し身構えたが、アスカが起きる気配はなかった。
イズナはここ数日、花火制作に夢中でほとんど寝ていなかった。
ということはアスカもまた、自分のせいで寝られない日々が続いていたのだろう。
「魔法…か」