褪せない花
確かに便利だろうさ。
手間もかからない、金もいらない、少し指を動かすだけで何でもできる。
けれどそれは同時に、悪事にも使えるということだ。
現に、魔法が開発されて一般的に使われるようになってから、犯罪の数は今までと比べ物にならないぐらい増えた。
時代が変わっていくことで人間が汚れていくのなら、俺は昔の時代を生きたいと思った。
だからああやって、昔の製法で花火を作ろうとしている。
どれだけ時代が変わっても、あの美しさを忘れないために。
けれどアスカは、魔法を支持している。
魔法で打ちあがった花火をきれいだと言う。
そんな彼女に、自分の花火を見せたいと思った。
彼女ならきっと、魔法を使う現代も魔法を使わない昔も受け入れてくれると。
…それが彼女に、これほど迷惑をかけているなんて。