褪せない花
嵐の前の静けさ、かもね
その日アスカは不思議と、今までにないぐらいよく眠れた。
けれどもこのところほとんど眠れていなかったから、熟睡という感覚を忘れていただけかもしれない。
まどろみからもすっかり覚めて、彼女は小さく首を傾げる。
「なんでこんな寝れたんだろ…」
しばらく考えた後、思い当たることが1つだけ。
そういえば昨日はちっともうるさくなかった。
いつも聞こえる爆発音が、全く。
かと思えば、起きた途端に隣の家からドタバタ音がする。
「何やってんだか」
独り言をつぶやいて、彼女は家のドアノブに手をかけた。
「…?」
胸の中に生まれた小さな違和感は、放っておくことにして。