褪せない花
彼の目の前にずいっと近づいて、アスカは念を押してみる。
「隠し事してない?」
「い…いや。ななな、何にもしてねぇ」
さらに彼に近づいて、鼻と鼻がもうぶつかりそうな距離。
「…ほんっとうに?」
途端、彼の顔がほんの少し赤みを帯びた気がした。
すぐにそっぽを向かれて、よく見えなかったけど。
「べっつにいいだろ、隠し事の1つや2つ」
そう言われてしまえば、反論の余地は無い。
もごもごと口を動かしながら、彼女は珍しくはっきりしない言葉を口にした。
「そりゃ、そう、だけどさ…」
だって何だかおもしろくない。
だって何だかつまんない。
隠し事されてるのが寂しいような苦しいような、そんな気持ちになるの。
ねぇイズナ。
これっておかしい?