褪せない花
我ながら不細工なむすっとした顔で部屋の奥へ進むと、造りかけの花火玉の横に一枚の紙切れがあった。
「何これ、図案?」
裏返しだったそれを拾い上げながら、ひっくり返して見ようとした瞬間だった。
「やめろ!!」
大声が聞こえたかと思うと目の前にイズナの手が伸びてきて、アスカを壁に押し付ける。
いきなりのことに頭が真っ白で、うまく状況が整理できない。
せっかく見ようとした紙はあまりの驚きで手からひらりと落ちていき、運の悪いことにまた裏返しになって落ちてしまった。
イズナの荒い息遣いが耳元で聞こえるのがくすぐったくて、わずかに身をよじる。
「な、に、急に…」
途切れ途切れに訊ねると、彼は鋭い目つきでアスカをにらみつけ、
「絶対に、あれは見るな」
理由も言わずそれだけ言って、身体を離した。