褪せない花
口を開いても、出てくるのは空気をかする音だけで。
悔しい。
なんで何も言ってくれないの。
どうして私に何も話してくれないの。
「何よぉ…」
泣きそうなのを必死でこらえて、歯をくいしばる。
「イズナの…、バカぁーー!!!」
人差し指を突き立てて短く呪文を唱えると、
ボカン!
派手な音を立てて、造りかけだった花火玉が崩壊した。
イズナもさすがにこれは驚きだったようで、口を開けてぽかんとしている。
これで言う気になったでしょう?
拭いきれない罪悪感を抱えつつも満足した思いでイズナと向かい合うと、彼は意外にも黙ったまま笑った。
やめてよ、なんで、笑うの。
罪悪感はふくらんで、消えてくれない。
「ごめんな、アスカ」
消え入るような声でそうつぶやいて、イズナはアスカを手で制した。
「帰ってくれ」
拒絶されたことぐらい、アスカにも充分すぎるほどわかった。