褪せない花


家までの道のりが、近くて遠い。
体はずっしり重たくて、地面についた足は地獄の底まで沈んでいきそうだった。

あんな風に拒まれるなんて、思ってなかった。

夜になったらきっとまた大きな音で目が覚めるだろうから、そうしたら思い切り怒鳴り込みに言ってやろう。
そう思っていたのに。


「バーカ…」


その夜もすごく静かで何にも音がしないから、寂しくてしかたなかった。
ゆっくりゆっくり目を閉じながら、


イズナのこと
好きなんだな


浮かび上がった想いは、夜の中に溶けて揺れた。



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