褪せない花


どこまでなら許してくれるだろうかと思いながら、静かに彼女の頭に手をやる。
なで付けた髪の感触が思いのほかやわらかくて、もっとなでていたいと思わせて。
でもそれは自分の理性が思いとどまってくれて、イズナは再び口を開いた。

少しずつ、言葉を選びながら。


「あの図案には、わけがあって」

「わけって、何?」

頭をがしがしと掻くイズナを見て、ちょっと笑いそうになる。
いつもの彼の癖だ。
それがアスカに多少なりとも安心感を与えてくれた。

ついて来て、と言って歩き出したイズナの背中を追いかけていく。
辺りはずいぶん暗くなっていた。

イズナの部屋に入ろうとすると、彼がアスカの手を引いた。

「今日は、そっちじゃない」


何だかわからないけれど、決意のこもった瞳がかっこよくて。
言われるがまま、アスカはイズナについて行った。


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