褪せない花
ぎゅっと目をつぶっていると、彼の甘いささやきが降ってきた。
「こっち見ろよ…」
うっとりするような、とろける声。
固く閉じていた目をそっと開けて彼を見上げると。
「イズナ?」
彼の顔もまた、真っ赤だった。
目が合った瞬間、彼の表情がふにゃっと緩む。
「俺も、俺も大好きだよ、アスカ」
急くように焦るようにそう言って、アスカを抱きしめる力を強めてくる。
イズナの腕の中は心地よい温もりがあって、真夏の気温の中でもずっとここにいたいと思わせた。
「きれいな、花火だった」
たった一発だったけれどいつまでも胸の中に深い灯りを灯してくれる、鮮やかな色。
きっとこの花の色を私、一生忘れない。