褪せない花


この辺りには、イズナのせいでほとんど人がいない。
誰が何度注意しても彼が一向にやめる気配がないので、彼らの方が引っ越してしまった。

それにしても、よくここまで耐えてくれたものだ。
今までならもっと早くに注意され、もっと早くに土地を引き払っていったが。
まあイズナも周りに人がいない方が好都合で、寂しいなんて思ったこともないけれど。

少女がイズナをじろじろと眺め回して、

「ふぅん…。そんなに髪がチリチリになるまで、何してるわけ?」

そうこなくっちゃな。
にやりと笑ったイズナに、彼女はただならぬものを感じた。

「何、そんなに危ないことなの?」


それだったら先に警察を呼んだ方がいいんじゃないか、それともここに来る前に警察を呼んだ方が早かったんじゃないか。
いろいろな考えを巡らせたが、どれをとるにしてももう遅すぎた。


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