褪せない花
その言い草には、彼女も疑問を感じた。
「どうして?手間をかけずにこれだけきれいなものができるのよ。それってすばらしいことでしょ」
科学的に開発された、「魔法」という新技術。
小学校から高校まで週に2時間魔法の授業が設けられ、自分たちはそれを使って育ってきた。
危険な場所、危ない仕事、全て魔法を使って安全にすることができた。
手間やお金を省いた分は自分たちの好きなことに費やせる。
これは画期的な発明だと、世界にもこの国の技術は認められている。
それらの意見を述べると、彼は馬鹿にするように薄く笑った。
「…本当に、こんなもんがきれいだと思うのか」
ぞっとするほど冷たい口調でつぶやき、それきり重く口を閉ざしてしまった。
火薬の匂いに満ちた部屋の中、苦しい沈黙だけが続く。
それを破ったのは、それに耐え切れなくなった彼女の方だった。