手をつないで
~touch on my heart~
「おまえ、意地張るのもいい加減にしろよ。」
びくっ;
上を見ると、泉は立ったまま、七枝は落とされたままの体制で固まっていた。
「怖いなら独りでびくびくしてんな、見てるこっちがイライラする。」
「す、すみません。」七枝はうつむく。
「あと、すぐ謝るな。どもるな。いちいちビクつくな。下を向くな。」
「す、すみ・・は、はい。」
言われたことを直そうとした七枝だが、顔はあげられなかった。
すると、「俺の言ったこと、理解したのか?」と言いながら下を向いたままだった七枝の顎を片手で持ちあげた。
触れられたことと、意外に泉の顔が近いことに戸惑い、七枝は固まってしまう。
「下向くなっていただろ。」
泉に声をかけられて、七枝ははっとする。
いけない!!
とっさに顔をそむけて、七枝の顎にあった泉の手から逃げる。
「おまえ、いい度胸してんな。」
七枝は顔をそむけたままの姿勢で自分の態度で泉を怒らせてしまったことに冷や汗を流す。
まずい;謝らなくては;
「す、すみません!そういうつもりではなくて・・・」
「そういうつもりじゃないなら、なんなんだよ。」
城戸さん、怖い(泣;
どうしよどうしよ;なんかいい言い訳;
本当のことなんて言えないよ;
七枝は半泣き状態で咄嗟に思いついた言い訳は
「き、城戸さんの手が汚れちゃいます、私、泥だらけだから・・・き、汚いです。」
勢いで言ってしまって、最後の方なんて声が小さくなって下をむいてしまった。
「なにわけわかんねぇこと言ってんだ。」
また、強制的に泉の手で下を向いていた七枝の顔を上に向かせた。
さっきのように泉の手から逃れようとしたが、さっきより強い力で振りほどけない
私に触れないで、他人の感情なんて読みたくない
「ダメっ!!!!」
意外に大きな七枝の声に、泉は驚いた。
驚いて、泉の力が緩んでる隙に泉の手から逃れる。
「私に触れちゃいけないの。だから、私のことは気にしないで、ください。」
七枝は泣きながら訴えた。