友達以上恋人未満

好きな人=幼馴染

柚木side


「柚ー、おはよ」


少し低い澄んだ声があたしを呼ぶ。
それはあたしの大好きな人の声。


「おはよー」


暁旬。
幼馴染で、あたしの初恋の相手。
その恋心は現在進行形。


「宿題やった?」


「あ……」


旬は容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群。
まるで絵に描いたような男の子。


「やっぱりな、ばーか」


性格はそんなによくない、と思う。
意地悪だし、口も悪いし。


「手伝ってくださーいっ」


でもね


「ったく、しょうがねーな」


面倒臭そうにしながらも、いつも助けてくれるの。
ほんとは優しい。

旬のそんなとこが好き。


気付いたら、旬ばかり見ていて。
気付いたら、旬に恋をしていた。

でも、想いは伝えられない。

だって知ってるから。
旬があたしのこと、恋愛対象として見てないってことくらい。


「柚?」


旬の声にハッと我に返る。
いつの間にか俯いていた顔を上げる。


「ごめーん、寝惚けてんのかも」


贅沢は言わないよ。
隣に居れるだけで、あたしは幸せだから。

彼女って言う、特別な存在にはなれなくても。
幼馴染って言う、特別な存在でいられる。

今の関係に満足してる。
多分、してる。
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