Canna*
「別れよ」
急に言い渡された言葉
私は一瞬にして頭が真っ白に
なるのを感じる
状況を理解できず
ポカンとアホ口を
開けたままでいる私に
雅人はとどめをさす
「バイバイ」
「ちょ…ちょっと待って!
雅人っ」
彼は理由を聞く余裕も
呼び止めるほんの少しの時間さえ
与えることなく私の前を去っていく
追いかける気力なんて
もちろん無くて
ただ私の前から
遠く離れて小さくなっていく
背中をじっと見つめる事しか
できなかった
別れは突然にだなんて言うけど
突然すぎて涙すらもでない
チッチッチッと時計
の音だけが聞こえていた
呆然とした気持ちと
絶望感と少しの期待
戻ってこないと分かっているのに
心のどこかで期待して戻ってくるのを
待っているその感覚は
小さい頃に感じた事のある
感覚に少し似ているような気がした