Canna*
黙ったまま
下を向いている私に
その男の人は言う



「…花束作って
いただけますか?


女の子が喜びそうな
可愛いの


できればオレンジ系で」


…彼女にプレゼントか



ていうか注文多いな


彼女のイメージが
オレンジなのかなぁ


なんて考えながら
私はヒマワリなどの
女の子に人気のある花をセレクトして、


綺麗にまとめていく



「あ、カンナって
入れてもらえますか?」



「カンナ?」

自分の名前に
少しどきっとする



「かしこまりました」


「ありがとうございます」


男の人は少し
嬉しそうに言う


私はまだ男の人に
目を向ける事なく
作業を続ける



私は黄色のカンナを
何本がとって
長さを整える



ラッピングが終わると
いつもと同じように聞く


「メッセージカード
お付けいたしますか?」


「お願いします

…あの入り口の
前に置いてあった
ピンクの花って?」

「あ―ゼラニウムです」


「へ―可愛い花ですね」


そう言うと

早く終わらせたいのに
男の人はその場で
メッセージカードを書き初める


メッセージカードを書き終えると

すっと私の前に
花束を差し出す


「へ?」


思わず変な声が出てしまう



顔をあげると
私の前に立つ
綺麗な顔立ちをした男の人は



私をじっと見つめで微笑んでいた




「あの―?


私に?」




こくんと男の人は
頷く

メッセージカードに
目を向けると
カタカナでカンナへと
書いてある



「え―と


なんで?」


「…泣いてたから」



は?


泣いてたら花束を
あげるもんなの?


ていうか


「ないてないです!!!」


「そっか」


「泣いてないですから!!」


ん?


名前なんでしってんの?!



すすす…ストーカー?!







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