恋を、拳と共に

店内を見回すと、あまり広くはないが清潔で明るい雰囲気で、女子高生の姿も多い。
出来立てのたこ焼きとドリンクを持ち、千里と一緒に空いている席を見つけて、座った。
立ち上る湯気とおいしそうな匂いに冷めるのを待ちきれず、早速ひとついただく。

「んんー!」

思わず、テレビのグルメレポーターのような反応をしてしまう。
これは、これは、おいしい……!
千里がやはり口にたこ焼きを入れたまま、得意気な表情で私を見ている。
私も微笑みつつ無言のまま、左手でピースサインを出してみたりして。

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