恋を、拳と共に

そう考えていると、千里が言った。
「聞いてみなかったんだ? 茜のこと、避けてるのかどうかって」

「だって……避けてるって言われたら、やっぱり悲しいし」

「でもさぁ、茜は、ブームに乗って手紙持ってくる人たちとは仲良くなるつもりはないんだよね?」

「うん」

即答した私を見て、千里は微笑みながら言った。
「茜はそれだから好きだよ」

「えへ、千里から好きだって言われるのは、嬉しいね」

「そーお? ありがとねっ」

千里から思いがけずお礼を言われたので、私もお礼の言葉を返す。
「こちらこそ、ありがと」
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