恋を、拳と共に
今年は、晩秋なんかすっ飛ばしていきなり冬が来た。
玄関のドアを開けると、朝の冷たく澄み切った空気が、一気に俺に襲い掛かる。
「……さむっ」
思わず声に出してつぶやいてしまうほどだ。
こんな日は、体育館も冷え切っていることだろう。
朝練始めたら身体もあったまってくるけど……、その、あったまるまでが辛いんだよな。
……でも、グラウンドで走る陸上部の方が、風がある分、寒いのかな。
――藤沢も、この寒い中、頑張って走ってるのかな。
ぼんやりとそんなことを考えていたらいつの間にか学校に着いていて、俺は準備をして朝練にとりかかった。