恋を、拳と共に

幸運なことに保健の先生が職員室にいたので、保健室に行って適切な処置をしてもらうことができた。

少し割れた爪は消毒してガーゼを当てて、突き指の疑いのある他の指は湿布をしたら、右手は手のひらの半分と中指から小指まで包帯でぐるぐる巻きになってしまった。

「先生、なんかすげーケガ人っぽいんですけど」

「だって君は充分ケガ人じゃないの」

「いや、なんか、目立っちゃうなぁ、なんて思って」

「いろいろずれないようにしたから仕方ないのよ。痛みが治まるまで我慢しなさいね」

先生に軽くあしらわれ、俺は右手を包帯ぐるぐる巻きにした姿で、教室へと向かった。


教室のドアを開けると、俺の包帯を見て、何人かの男子がどうした、大丈夫か、と声を掛けてきた。
おう、と笑顔で返す。

そして、自分の席の方に向かおうとした時、
びっくりしたような表情の藤沢と、目が合った。
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