恋を、拳と共に


――お姫さま抱っこ、されちゃった……。


しばらく私は、階段の踊り場で、立ち尽くしていた。

階段から落ちたショックと、助かった安堵感と、
そして、男子に抱きとめられたこと。
いろんな衝撃がごちゃ混ぜになって、頭の中がぐるぐるしていた。


ぐぅぅ。


お腹の音で、我に返った。

――おなかすいたから、帰ろう。


頭の中のぐるぐるは、今夜のメニュー予想によって、あっという間に隅っこに追いやられたのだった。

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