恋を、拳と共に
――好き……? 秦野くんが?
――私のこと?
「め、迷惑……だったら、ごめんっ」
小さい、振り絞るような声で続ける、秦野くん。
全然、迷惑じゃない。
だから、全力で、ぶんぶんと首を左右に振りながら言った。
「……迷惑じゃないっ」
ちゃんと返事したつもりだったけど。
口から出た声は上ずって、早口になってしまった。
一呼吸置いて、もう一度、言い直す。
「全然、迷惑じゃない……むしろ、ありがと」
秦野くんが、ゆっくりと私のほうに顔を向ける。
何だか泣き出しそうにも見える。